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広尾のチェコセンター東京でチェコ人形劇

港区に点在する数十の外国大使館、総領事館の中には比較的自由に出入りできる国がいくつかあり、そこでは東京に居ながらにして外国の雰囲気を味わうことができたる。

広尾にあるチェコ共和国大使館もそんなフレンドリーな大使館の一つで、魅力なのはチェコセンター東京というチェコの文化的魅力を拡める施設が併設されていることである。 1970年代、プラハの春の挫折後の苦しい時代に建設されたチェコ大使館の、向かって左側は大使館/総領事館が入っているが、建物の右半分はチェコセンター東京が使っている。

1970年代のチョコということは、四角四面な共産主義の官僚が四角四面にシンメトリーに設計した威圧的な建物かぁと思ったが、聞いてみるとアントニン・レーモンドの手によるものだそうだ。 たしかにあちらこちにアールが効果的に使われている。

今年2017年にはチェコ文化年2017というイベントが各国で実施され、日本でもそのプログラムの一環として建築家のアントニン・レーモンドの展覧会、国立新美術館ではアルフォンス・ミュシャ展などが開催されてきた。

そして広尾のチェコセンター東京では「チェコ人形劇の三つの顔」展が開催された。

8月4日まで開催のこの展覧会を見る機会があったのでレポート。

チェコの文化というと映像系ではヤン・シュバンクマイエルを代表とするチェコアニメ、文学ではカフカミラン・クンデラなど。中世から現代に至るまで東欧のというかスラブ系国家の中でも有数の文化大国だと思っている。

そんなチェコの文化の中で特にユニークなのが人形劇。 家庭内での娯楽として、あるいは小規模な商業人形劇など、人々の生活に人形劇が組み込まれていて、その延長線上にシュヴァンクマイエルのようなアニメ作家がいたり、演劇という枠ではヴァーツラフ・ハヴェルのように劇作家から大統領になる人物がいたりしているということか。

展示室で最初に出てくるのがこれ。どこかで見たことあると思ったらやはりヤン・シュヴァンクマイエルと、その下はペトル・マターセクだった。

現代の作家たちの表現も伝統的な人形劇の蓄積があってこそということか。

大型の人形劇舞台。
このようなセットを馬車に積んで町から町へ移動して人形劇を見せていたそうだ。 ちなみにこのセットには実際に触れることができ、人形を実際に動かし操ることもできる。

チェコセンター東京での展示は平日の昼間しか開いておらず気軽に観に行くことができないのが難点だが、広尾や西麻布でちょっと時間が空いた際などちょっと足を延ばしてチェコのユニークな文化に触れるのもよいかもしれない

チェコセンター東京は広尾のチェコ大使館内。 日比谷線広尾駅からなら商店街を外れまで行って聖心女子大の南口を過ぎて最初の角を右に曲がったその先200mほど。広尾駅から徒歩10分弱。 あるいは日赤医療センター方面からなら日赤通りをまっすぐ、日赤医療センターの300mほど先。日赤医療センターまでバスで行ってしまえばそこから徒歩3分である。

 

チェコセンター東京

渋谷区広尾2-16-14