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Shelby LynneとAllison Moorer姉妹

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シェルビー・リンとアリソン・ムーアの姉妹による初めてのデュエットアルバム「Not Dark Yet」がとても良かった。

アイドルっぽい売り出し方をされた後、カントリーだったりブルー・アイド・ソウルだったりいろいろ試行錯誤しながら良質な音楽を創ってきたシェルビーだが、このアルバムでアメリカン・ミュージックのアーティストとしての立ち位置を確立したように思える。

シェルビー・リンとアリソン・ムーアはシェルビーの方が4つ年上の姉妹。 以前からライブで共演することはあったようだがなかなかアルバム制作には至っていなかった。

今回はカバーアルバムということで、お互いのキャリアや音楽的志向をうまくすり合わせることができたのかもしれない。 最後の曲は2人の共作。もしかしたら初めての共作かもしれない。

カバーアルバム「Not Dark Yet」の収録曲は次の通り

My List (The Killers)

Every Time You Leave (Louvin Brothers)

Not Dark Yet (Bob Dylan)

I’m Looking for Blue Eyes (Jessi Colter)

Lungs (Townes Van Zandt)

The Color of a Cloud Day (Jason Isbell/Amanda Shires)

Silver Wings (Merl Haggard)

Into My Arms (Nick Cave)

Lithium (Nirvana)

Is It Too Much (S.Lynne/A.Moorer)

どのくらい知られた話か分からないが、この2人がまだ10代だった31年前の8月、彼女たちの目の前で父親が母親を射殺し自らも自殺を遂げるという悲劇があった。

10代の娘達の目の前での凶行は想像するだに胸が痛むが、当然その事件の重さは良くも悪くもシェルビーの音楽活動に影響している。例えば、

これはジョン・レノンのトリビュートコンサートで「マザー」を歌うシェルビー・リン。

自身のソロアルバムで既にカバーしているとはいえ “Mama don’t go… Daddy come home” とは彼女の両親の事を知ればシャレにならない気もするが、でも彼女以外に誰がこれを歌えるというくらい鬼気迫る「マザー」である。

「Not Dark Yet」のタイトル曲でニューヨークのエレクトリック・レディでのセッションの模様。なおこれはディランのカバーである。 これを観ればアルバムに期待が弾むと思う。

アルバムの最後は彼女たちの共作である “Is It Too Much” で幕を閉じるが、このデュエットをきっかけに彼女たち自身は様々なトラウマからも解放されたようだし、これからも2人で良質のアメリカン・ミュージックを創り続けていって欲しいと思う。

Not Dark Yet

Not Dark Yet