King CrimsonのHeroes
モーターヘッドが新作のカバー集にボウイのHeroesを収録したのはライブ映えがするからではなく、おそらく今年がDavid BowieのHeroesリリース40周年だから。
なので、例えばオリジナルので Heroesでリードギターを弾いていたロバート・フリップは2016年ツアーでのライブを今年になってトリビュートEPとしてリリースしている。
これがその映像
今では色々な解釈ができる曲のように捉えられているけど、冷戦期のベルリンの壁が現実の存在としてそびえ立っていた時にボウイを聴いていた人にはその意味するところ、メッセージはあまりに明確。
1987年の西ベルリンでのライブでは、東ベルリンに向けてスピーカーを向けて大音量で流すという、今なら政治的テロの一種と捉えられかねないことまでやっていた。 この時の、特に東側での様子は、NHKの「映像の世紀」でも取り上げられていて、今年日本でも開催された「David Bowie is」でも流されていた。
これはその時の東側、東ベルリンの様子。 ボウイのライブの事を聞きつけて数千人の東ベルリン市民が壁の近くに集ったという。 そして当然そこには東ドイツの秘密警察シュタージもいてしっかり監視。
東ベルリン市民が壁越しにHeroesを聴いて力づけられたのは間違いなく、 昨年ボウイが亡くなった時、ドイツ外務省の公式Twitterでは
Good-bye, David Bowie. You are now among #Heroes. Thank you for helping to bring down the #wall. https://t.co/soaOUWiyVl #RIPDavidBowie
— GermanForeignOffice (@GermanyDiplo) 2016年1月11日
このような感謝のツィートをしていた。
音楽が直接政治を動かすことはできないかもしれないけど、人々の心を動かすことならできる素晴らしい証拠である。 そして40年後、東ドイツ出身者がドイツの首相になっていて、しかもヨーロッパにおける人権の擁護者のようになっているとは想像もできなかった。
ロバート・フリップがいまHeroesをリリースするのは単に40周年だからという理由だけではなく、今またこの曲の持つメッセージやパワーが必要だと感じているからではないだろうか。